具体的な分析メモの一つの例
望ましい高齢化社会についての考察例を紹介しましょう。以下は具体的な分析メモの一つの例です。
確かにお年寄りは、我々にはない多くの経験と知識を持っています。それらを若い世代に引き継いでもらえるのなら、お年寄りは張り合いを感じてもらえると思います。それではなぜ、若い世代はお年寄りから学ぼうとしないのでしょうか?
急な階段や、人通りが多く休む場もないところへの外出はお年寄りに安心して外出してもらえないでしょう。今後はさらなるバリアフリー化が望まれるところです。しかし、このバリアフリー化はあなたができることではありません。行政の仕事です。
悠々自適な老後の生活でもお金は必要です。マスコミ等でも騒がれているように年金制度の改革は急務であるようです。しかし、これもあなたにはどうすることもできません。行政の仕事です。このような問題について考える時は、bのバリアフリー化の問題とともに、実現可能にするためにはどのような意識と行動が必要なのかを、あなたの視点から考えてみると読み手に納得してもらえると思います。
長く生きたとしても生きがいがなければ、つまらないかもしれません。いくつになっても生きがいは大切です。それでは生きがいとはなんでしょうか。人はどんなときに生きがいを感じるのでしょうか。この辺りはaの関係がありそうですね。
具体的にあなたはどのような差別があると考えていますか。その差別はお年寄りにどんな影響を与えているのでしょうか。
こうして、見てみますとa〜eの情報は二つにわけられます。
あなたの立場からアプローチ可能な身近な問題であるaとd、高度な政治的判断を要するbとcです。あなたが自問自答の基盤としておさえて欲しいのは、aとdから考えられる「生きがい」という視点からの考察態度です。
自分を基本に考える
そこで、「生きがい」を考えるに辺り、まず自分を基本に考えてください。小論文では問題を身近なこととしてとらえる姿勢は大切です。自分はどんなときに生きがいを感じるのか。そして自分が年をとったとき、その生きがいを持って生活するにはどんな社会であって欲しいかなどを考えます。
それから考える対象を広げていきましょう。あなたのご両親にどんな第二の人生を送ってもらいたいか、あなたのおじいさん、おばあさんには今どんな生活をして欲しいか。そのために何ができるのかなどを考えます。このように、身近な問題として課題を捉えることからはじめてみてください。
そして最も重要と思われる問題点に対して、どれだけ考えて自分なりの解決策(意見)を正当な根拠でもって述べることが出来たかが、小論文では重要な採点基準となります。試験本番で、まったく知識のない分野の課題が出たとき、自分で疑問を導き出し考える力がついていれば、あわてないですみますね。
知識や情報に頼って、一般論や抽象論でうまくまとめ上げてしまうのではなく、自分ならどう考えるか、どこかに疑問点はないだろうか、と必ず自問自答を繰り返しながら、ぜひ独自の考察を行なってください。
このように自問自答を繰り返し、問題を根本的なものまで突き詰めていくことによってあなたが本当に主張すべきことが見えてきます。深くじっくりと考える力がつけば完成度の高い論述が出来ると思います。
分析メモの書き方関連記事
- 【高齢化社会】
- 高齢化社会となっている現在の問題がどういうところにあるのかを、あなたの目を通して述べられるとよいでしょう。
- 誰にも負担のかからない社会を目指す
- 「子どもにも高齢者にも負担のかからない社会を構築していく」ための具体的な方策について考えてみてください。そうすることで、あなたの主張により説得力が増すと思います。
- 等身大の高校生の視点
- 自分の人生設計に引き付けて、「等身大の高校生の視点から」論じることが可能です。勿論、将来を踏まえるのにある程度の現状把握は必要ですが、やはりここで必要以上に社会の現状に関して一般論的に述べるより、有用な論点を掘り下げる方向で考慮を進めましょう。
- 高齢者の立場を想定
- 高齢者の立場を想定して、望ましい高齢化社会について考察をすることが大切です。また、高齢者の立場だけでなく、現在や近い将来のあなた自身の立場から高齢化社会の問題について考察を深める必要もあります。
- 高齢出産と長寿の関係
- まず、高齢で出産した人の子育て期間が終了するのが遅くなるという事実について、もう少し詳しく考えてみましょう。「守ってあげなければならない存在」である子供がいることによって気持ちに張りができるということは、ある面では納得できる説明だと思います。
- 持論の根拠
- たとえば「高齢者の本心は、絶対家にいたいはずだ」と断言して主張するとしましょう。ではその確信の根拠は何でしょう。根拠もなく強固に持論を進めると読み手に反発を招くだけです。
- 少子高齢化問題
- 少子高齢化社会という、巷でもよく取り扱われるテーマなので、書くことには困らないのではないでしょうか。でも、ありきたりなテーマだからこそ、一般論の域を出ない、標準的な回答になってしまうおそれがあります。
- 分析メモの書き方
- 書きたいことはたくさんあるが、指定字数の枠内に入らない。そんな時は情報の整理が必要です。あなたの考える望ましい高齢化社会として分析メモにはいろんなことがあげられているはずです。これらをさらに自問自答して根本的な問題にまで掘り下げてみることです。