論述力アップの5ポイント
それでなくても、自分の考えていることを文章で説明するということの困難を皆、経験上知っています。だから、論文を作成することに不安を抱いて当然だと言えるでしょう。
しかし、「決まった正解が無い」ということは「正解が(ひとつも)無い」ということではありません。「正解が1つではない」ということ――、つまり、「試験小論文の正解は無数にある」ということなのです。
要するに、試験小論文へのアプローチが難しいと感じる本当の原因は、「正解を導く『解法』が無い」と思い込んでいることにあるのです。
小論文学習対策を学ぶ上で重要な要点には次の5点が挙げられます。
学習対策の修得のために
1.小論文作成方法についての考え方を理解する
2.小論文作成方法の作業手順について理解する
3.実際に作成することで、作成方法を確認する
4.作成してみて、よく理解できていない手順や考え方を確認し復習する
5.志望校の過去問題と類似した問題を解いて練習する
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論述の秘訣エントリー一覧
- 知らないと書けない
- 先日、「携帯電話で110番通報をしても救急車は来てくれるのか」と聞かれました。質問の内容を事実のみで判断すると、@"救急車を呼びたいなら119番通報をしないと来てくれません"から、「来ませんよ。」と答えたでしょう。けれど、この人は何を聞きたかったのだろうかと考えると、この答えでは納得してもらえないように思えました。この人はきっと、A"緊急の通報にも携帯電話は使えるのか"ということが聞きたかったのだろうと考えたからです。そこで、B"自分には経験はありませんでしたが、友人がこの正月に初詣先で病人が出...
- 格差社会の拡大を考察
- 多くの方は「所得格差の拡大」という事実についての背景を分析されます。前記の話で言えば@とBです。具体的に「雇用形態の変化における非正規労働者の増加拡大」などがあげられ、どうしてこのような現状になってしまったのかを考えていくことができます。これは実際に起こっていることを知らなければ意見を出すことは難しいかもしれません。 しかし、課題の主旨(A)は「格差社会の拡大の背景」を考えることです。ここに主眼をおくと「格差とは何か」「どうして格差が生まれるのか」をについて意見を出すことができます。 たとえば...
- 【職業観と仕事】
- あなた独自の意見や主張を唱えるとしても、設問で提示された枠組みから大きく逸脱してはまともに評価してもらえません。 戦前と戦後の日本人の特性を考えるときには、その意識構造とともに社会構造のこともあわせて考える必要があるでしょう。また科学技術や情報化の進展状況も関連してくると思います。 確かに今の日本人はそうだとしても、歴史的に見れば惨めな敗戦国からアメリカのような先進国に追いつくためにせっせと働いたのではなかったでしょうか。 そう考えると、現代の日本人がせっかちで働きすぎの傾向があるのも、結構複...
- 時事問題を考える
- あなたは、毎日新聞やテレビを見る時間を確保していますか。一方的に流される情報の中で必要なものは、「時事問題」です。最近では派遣切りや陪審員制度などが、注目を集めていることをご存知でしょう。 しかし、気をつけてもらいたいのは、テーマとされている問題ついて何を問われているのかという点です。たとえば、「派遣労働者の早期解雇の問題が報じられていますが、雇用情勢悪化の原因についてあなたの意見を述べなさい。」と出題されたとします。この場合、何をどう考えたらよいのでしょうか? まず考えなくてはいけないのは、...
- どう感じて何を考える
- 社会を賑わせている話題が小論文のテーマとして出題されることは少なくありませんので、時事問題を考えることは重要なことです。 世の中で起こっていることを知ることは大切なことです。しかし小論文で問われることは、あなたがどれだけの事実を知っているかではなく、その事実についてどう感じて何を考えたのかということなのです。 ということは、小論文試験の対策とは、様々な社会事象について見識を深めるだけでなく、その問題に対する自分なりの意見をみつける練習を積むことだということになります。では、よりよい意見を見つけ...
- 言葉の意味を考える
- しかし、いざ提出文書となるとなぜか難しい表現を使わなければならないのではないかと思いがちです。 小論文は自分の考えや意見を相手に説明する文章です。ですから、相手にわかりやすい表現を使うことを心がけるべきです。そのために必要なことは、自分が使おうとしている言葉の意味を考えることです。耳から入ってきただけの聞きかじりの知識や思い込みで言葉を選ぶと、相手に伝わりにくい文章になることがあります。 たとえば、いくつかの事柄を並べて表現するのに「〜や〜」「〜かつ〜」「〜または〜」を使うことがありますが、もち...
- 事実に即した記述
- しかし、医師不足は地方だけの問題ではなく、産科医や小児科医の不足など都市部においても同様であり、「地方では」と限定するためにはそのための説明が必要といえるでしょう。ですから、地方で医師が不足しているためにどのようなことが起こっているのかを説明する必要があり、その現状が問題だと表現すると説得力のある文章になります。たとえば「地方では専門医が不足しているため患者が十分な治療を受けられない場合が多い」とか「地方では医師の確保ができないため病院や診療所が閉鎖され、住民は治療を受ける機会が奪われている」な...
- 事実を無視しない
- しかしそれは非常に危ないことであり、間違った結論を導き出してしまうことも多くあります。聞きかじった言葉や情報を羅列することで論文らしい文章をつくろうとする人もいますが、こうして事実を無視して作られた文章は、文意が通りにくく、誤解をあたえる文章となり、論述も破綻してしまいます。 「知っているつもり」と「事実をわかっている」のは別物であるということを理解しておきましょう。 しかし、事実を知っていれば、それをどのような言葉で論述するかは個人の感性であり、論文だからといって難しい言葉を使う必要はありま...
- 論述回数を重ねる
- また、分析メモのなかで疑問に対し複数の答えを取り上げ、それぞれについて考察を深めている訓練をしてください。このような小論文作成方法は、あなたの考えを整理するためにも大切なことですので必ず続けていってください。 小論文の問題の中には問われていることは理解しやすいものがあります。しかし、そういったテーマこそいろいろな面から考えることが可能な問題である可能性が高いものです。そうしたテーマでは重点をおいて考察を深めていく問題点やテーマを絞ることが難しくなります。また、論文からは、分析メモの中であなたが自...
- 自分の意見と一般論
- あなた自身の考え方が読み手にも伝わりやす記述を心がけましょう。さらに、論述において、最終的な結論として説得力を持って自分の意見を述べるためには、分析メモ段階で、結論部分に至る内容をもう少し掘り下げておくのがよいと思います。自分の意見をはっきりと述べることは、なかなか勇気の要ることではありますが、客観的な分析とそれに基づく考察の訓練を重ね、自信を持って自分の意見を述べることができるようにしていきましょう。さらに、課題文の要約や資料文の主張を読み取る問題では、文章の難解さや見慣れない単語に振り回され...
- 主張の仕方
- 陥りがちなパターンの一つに著者の考えに基本的には同意して論述の大半は「著者の意見の後追い」といった印象を受けてしまうケースです。端的に言うと次の問題点があります。それは、「著者の意見に対する理解」と「自身の意見」との境界がはっきりしないという点です。この原因としては、大きく次の二点が関係していると考えられます。 まずは、下地段階、つまりアウトラインシートの段階で「著者の意見に対する理解が充分に消化されていない」という点です。課題文が与えられていて、それに対する意見を求められる課題のような設問に...
- 字数制限のある小論文入試
- 少ない字数の範囲で説得力あるあなたの意見を述べるには、極力簡潔な文章表現を心がける中にも、要点だけはきちんと押さえておく必要があります。それゆえ、分析メモもより完成されたものとして仕上げておかねばならないでしょう。たとえば、完成された論述は2段落から構成されているのに、分析メモを書いたアウトラインの方は3部構成になっていたります。論述の際に迷いを生じさせないためにも、アウトラインを完成させる前に、再度分析メモを入念に吟味しておくことが大切です。アウトラインの骨組みがしっかりしていないと、論述途中...
- 構成作業
- 具体的には以下の点に注意をします。小論文の再構成の作業を行っていても字数オーバーした場合、たとえば、こんな弱点がないでしょうかチェックが大切です。・具体例が長すぎて、自分の主張が十分に収められていない。・何度も同じ主張が繰り返されているなど、内容にムダが多い。・論述主題や論点が分散して一つに絞り切れていない。・文章表現がまとまりがない、ダラダラしている。「文章表現」や「原稿用紙の使い方」に原因がある場合、どこをどう直すのか、次のようなポイントをチェックする必要があります。たとえば、「です・ます」...
- 物事を多角的に見つめる
- 言葉を変えれば、かなり「醒めた」眼で見てみることが必要になります。たとえば環境問題を環境負荷の高い、低い、という観点から考えてみるだけでも、いろいろな問題点が浮かび上がってきます。たとえば、丈夫で長持ちする製品は、モノを作り出す「資源」の面から言えばかなり環境にやさしい製品になります。しかし、その製品を使い続ける過程で、電化製品なら「電力」を消費しますし、車なら「ガソリン」を消費します。技術の進歩により生み出された新製品が、この「利用する」期間の環境負荷を低減させていることは、企業のPRなどでも...
- 自分の意見を主張する
- 分析メモを書き込むことで課題文の内容をよく読みこみ、筆者の視点や見解をきちんと理解できているということが必要です。 このように、まずは筆者の見解を理解することで、あなたは問題の解決策を考えていこうとすることができます。しかしあなたの意見(解決策)に至るまでの、あなたなりの視点というものが、アウトラインシートにも論述にも見当たらないのであれば、文章構成自体はきちんとできているのに、読み手としては読後に何か物足りなさを感じてしまう可能性があります。 また設問文にたとえば「次の文章を読んだ上で、自分の...
- 小論文を感想文にしない
- 小論文に出題される課題文には、多種多様なものがありますが、その多くは、あなたがこれまで思いもしなかったような新鮮な視点から、現代社会の問題を見直した内容であることでしょう。中には、普段あまり関心を持たないような問題を取り上げた文章もあるでしょう。自分の意見を考えるどころか、その内容を理解するだけで大変、という方も大勢いるはずなのです。 あなたが、いつも丁寧に分析メモを取って、課題文の内容をしっかり把握しているのであれば、この第一段階は、十分にクリアできているわけです。そこで、今後は、次の第二段...
- あなたの目線
- それは見方が課題文と同じだからです。同じ見方だから課題文の範疇でしか結論が出ないのです。小論文の本試験では何が出題されるかわかりません。あなたが今まで考えたことがないような問題が出題される可能性は十分にあります。試験時間や精神状態を考えると、その場でじっくり考えることは難しいはずです。そうであるので、事前の準備、事前に考えを深める訓練をしておくことが必要です。考えを深めるには議論をすることが有効です。自問自答で、あえて課題文や自分の意見に反論してみてはどうでしょうか。 こうして考えられる問題点...
- 文章読解型の対策
- @設問の要求に「どの程度『正しく』応じているか」A設問の要求に応じ考察が「どの程度『正しく』『深く』進められているか」B設問の要求に応じて考察した結果、発見したことを「『どこに向けて』発展させているか」 記述力がついてきた人の陥りがちなパターンのひとつに記述した文章は小論文というよりもコラム(社会の出来事に対して書く簡単な評論文のこと)に近くなってしまう状況があります。記述力がつき、勢いで書けるようになったときに陥りがちな失敗です。 課題文の追従的な小論文に陥らないように、独自の視点を持とうとす...
- 図表課題の克服
- 図表課題を含む小論文への対応は次の手順で行いましょう。1 図表の特徴(数値の多い・少ない、数値の急激な変化増加量や減少量に注目)を抽出する。2 抽出した特徴から検討できることをメモ書きし、すべてのメモ書きを統合してそこから読み取れる事実を整理する。3 設問の要求を十分に理解した上で、その要求に応える形に整理して論述する。【図表課題の注意点】○ 図表課題は、課題文と図表が混在しているケースが多いが図表も要素・要点を取り出して文章と同様に扱うことで考えやすくなります。○ 一方図表が材料で課題文が図表...
- 主張の作り方
- そのためには主張を決めてみてる必要があります。課題文を読んでみて、まずは思い浮かんだ考えを書き出してみましょう。「こうあって欲しい」「こうあるべきではないか」といった漠然としたものでもかまいません。そして、さらにその答えをいろんな角度から考えてみることです。そうすることによって、自分の考えを支える理由と根拠を探し出してみましょう。では、トップダウンの手法を使っての一例を挙げましょう。たとえば課題文について「倫理面での問題がある」と主張したとします。・ なぜ、倫理面で問題があってはいけないのか? ...