小論文ってなに
あなたは『小論文』と聞くと、どんな印象をお持ちでしょうか?『文章を読んだり書いたりするのは苦手』とか『何を書いていいのかわからない』と感じられる方が多いと思います。むしろ得意とする方のほうが少ないのかもしれません。
実は私もその仲のひとりでした。文章を読むことは好きなのですが、小説を読むのにもかなりの時間がかかってしまいます。文章を書くとなると、なにをどうまとめたらよいのかさっぱりわからない状態でした。
そんな私がこのような仕事をさせていただくに至ったのは、Foster Ltd.の代表である林克哉先生との出会いでした。機会をいただき、文章を書かせていただくこととなりましたので、この入試小論文で高い合格率を誇るFoster Ltd.のメソッドにもとづく説明をさせていただきます。
まず、論文とはどのようなものなのかを考えてみたいと思います。
論文とは、論理的に書かれた文章のことです。『論理的』とは、物事の関係性が比較的よくあらわされている、という意味です。
また、『論ずる』とは『筋道を立てて述べる』ことだそうです。どうやって"述べる"かというと"文"章にしてということですね。
つまり、論文とはわかりやすく言うと『物事の関係性を、筋道を立てて伝える文章』です。もっと噛み砕いていうと、『自分が相手に伝えたいことをわかりやすく説明した文章』ということなのです。
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小論文コラム エントリー一覧
- 価値ある情報を伝える
- 例えば、電化製品の取扱説明書とか料理のレシピ本はとてもよくできた論文といえるでしょう。「○○を××すれば△△になります」というように、関係性がはっきりしていて、誰にでも分かるように説明してあるので、受け取る相手によって理解に差が出ることがないからです。テレビの配線をしていて回線がショートしてしまったり、肉じゃがを作ろうとしてカレーが出来てしまったりしたら困りますよね。また、ラブレターにも論文的な要素がかなりあるといえます。なんとかして自分の気持ちを相手に伝えたいわけですから、課題風に言えば「私...
- 分析作業はメモ書き
- この分析の作業で大切なことは、メモを取ることです。テーマについて自分の頭に浮かんできたことすべてをメモに書き込んでいきます。全部書くのですから、せめてA4ぐらいの大きな紙にしてくださいね。このメモは論文を書くための骨格である、アウトライン (設計図)の基になります。メモに書くことで、頭の中で考えていたことを客観的に整理できるようになり、相手に伝わりやすい文章を書くための準備が出来るようになります。 整理するときのポイントは、説明する相手を具体的に決めてみること。その相手は、出題者ではなく、自分...
- 情報の文章化
- 整理してみると、論文を書くのに必要なことは@何を(相手にとって何が価値ある情報なのか)どう書くかを決める。A整理してわかりやすい文章にする=文章化する以上の2点です。小論文の苦手な方でも、この2つをマスターすれば自由に文章が書けるようになるでしょう。あなたは、入試小論文の問題作成者の心も大好きな相手の心もガッチリつかめるというわけです。最初に書かせていただいたとおり、この内容は入試小論文で高い合格率を誇るFoster Ltd.のメソッドに基づくものです。ここにご紹介いたしましたのは、ほんの導入部...
- コミュニケーション能力
- 小論文の添削をしていて、時々感じることがあります。それは、「以下の文章を読んで、○○についてあなたの意見を述べなさい」と出題された場合、回答されるあなたはどれくらい課題文を読むだろうか、ということです。ご自分の意見について丁寧に説明されていて、論点もわかりやすく、とても読みやすい論文にはなっていても、与えられている課題文や設問の内容とはほど遠いものになってしまっているものを目にしたことがあります。とてももったいないことだと感じました。もちろん自分の意見を文章にすることに慣れていないためだとか、緊...
- あなたの意見
- 小論文の課題で難しいと感じる理由には、@相手(出題者)が自分と同じ意見を持っているとは限らないので、文章自体を理解しにくいということと、A違う意見を述べると評価が下がるのではないかと心配することなどが挙げられるのではないでしょうか。 そこで考えてみてください。あなたの周りにいる友達は、みんなあなたと全く同じ意見を持った人たちばかりですか?友人と同じ意見でなければ、その友人に嫌われてしまうのですか? 小論文の出題者側としても、同感であるという意見を聞きたいわけではありません。あなた自身がどのよう...
- 文字を書く注意点
- 私がパソコン(当時はワープロでした)の勉強を始めたきっかけは、字を書くのが苦手だったこと、すなわち私の書く字は汚かったからです。パソコンが普及したため、文章はほとんど活字化してしまいましたが、入試小論文や履歴書となると、そうとばかりもいかないことが多いでしょう。そこで、今回は小論文においての「字」について考えてみたいと思います。 小論文に限らず、自己推薦書や志望理由書、履歴書や職務経歴書など、さまざまな提出文書がありますが、それらの共通した点は"見せる相手がある"ということです。自分の考えや自...
- 好印象を与える条件
- 文字にはその人の性格なども含めた内面が現れるといわれます。大きな字を書く人はおおらかな性格とか小さいと神経が細やかなどといった、文字による性格判断もありますよね。 小論文や提出文書で相手に好印象を与える文字の条件は、字が上手か下手かではなく"丁寧に書くこと"だと思います。読む人に理解してもらうために心をくだくことともいえるでしょうか。 提出文書において、丁寧にとは@字の大きさがととのっていることAマスからはみだしていないことB楷書で読みやすく書くこと 以上があげられるでしょう。そのほかに表記の...
- Because(ビコーズ)
- 以前、こんな経験をしました。仕事の関係で、先方に提出した資料の説明を求められたときのことです。非常に重要な書類だったので、相手を説得するための材料をかき集めて面談に望みました。最後にその方の言われた言葉が今でも印象に残っています。「あなたの話にはBecause(ビコーズ)が多すぎる」といわれたのです。そのときには何のことだか分かりませんでしたが、とにかくショックだったことを覚えています。今振り返ってみると、その意味がよく分かるような気がします。その経験以後、機会があって小論文の世界に深く関わるよ...
- 文章のTPO
- しかし、相手が何を求めているのかを考えることからはじめなければ、自分の意見を理解してもらえるように説明することは難しいでしょう。相手が求めていることがわかれば、それに応じて言葉を選びやすくなるということです。自分の考えていることをすべて相手にぶつければわかってもらえるというわけではなく、相手の要求に応じて言葉や説明を選んでいく必要があります。これは日常の会話やビジネスでの応対にも当てはまることでしょう。特にプレゼンなどの場合は非常に重要なことになってきます。以前の私にはこれができませんでした。理...
- 推薦入試の現状
- 一般入試と並び大学入試の柱となっているのが「推薦入試」です。2003年度では、国公立・私立を合わせて668校、全体の9割以上の大学で実施されており、募集人員枠を拡大する大学も目立っています。推薦入試には大きく分けて、「指定校制」と「公募制」の2種類があります。「指定校制」は、大学が指定した高校の生徒を対象に行われるもので、指定された高校の生徒でなければ受験できません。公募制に比べると成績基準などの出願条件は厳しくなりますが、合格率が高いことが特徴です。国公立大では原則実施されていません。「公募制...
- AO入試の現状
- ここ数年で急速に広まりを見せているのが、「AO入試」とよばれる新しい入試方式です。 2003年度は前年度より51大学増えて337大学で実施されており、今後もますます増加することが予想されています。AO」とはアドミッション・オフィスの略。学力だけではなく、受験生の大学・学部への適性や特技、資格、学習意欲などを総合的に評価する入試システムです。原則的に学科試験は課されず、書類審査や面接(面談)に時間をかけて審査・選考されます。AO入試では、受験生の自主性・やる気が評価のポイントになります。「自分はこ...
- 小論文の添削
- そんななかで、志望理由書の添削をしたときに、名前と志望先が書かれただけであとは白紙の解答用紙に出会ったことがあります。しかし、白紙だからと何もコメントせずに返却するわけにはいきません。なぜ白紙なんだろう、と考えてみました。提出期限を忘れていたのかしら、それとも体調を崩して書けなかったのかしら。志望理由について考えがまとまらなかったのか、それともただ書くのが面倒だっただけなのか、はたまた自分の希望とは違う志望先を選ばなければならなくて心の葛藤があるのか・・・ドラマが書けそうなぐらい様々な想像をし...
- 小論文に正解がある?
- たしかに、課題のテーマに関して考えるべきポイントや抑えておきたい話題などは明確になりました。しかし、自分がいくら考えて書いたものでも、生徒さんが書いてきたものはまったく別の論文なのです。そして、生徒さんが書いた論文にコメントしようとすると、どうしても自分と意見の違うところや方向性が違うところが目に付いてしまい、本来指摘しなければならないはずの部分がみえてこなくなってしまいました。 理由は簡単なことです。生徒さんは自分とは違った意見をもっているので、模擬回答などは作ってもしかたなかったのです。そ...
- 知識の引き出し
- 論文指導をはじめて間もないころ、そういった質問を受けることが怖くていつも不安を感じていました。そんなとき、私を指導してくださっていた先生がおっしゃったことは「自分自身の経験や体験から話をすれば大丈夫」ということでした。 実際に生徒さんとじっくり話をしてみると、じつに基本的なことから分かっていないのだ、ということに驚かされました。要はその分野について知っていることが少ないのです。知らないからどのようにアプローチすればいいのかわからない、といった状況でした。課題や背景の問題に対する予備知識は授業前...
- 語彙のまちがい
- 語彙のまちがいとは、例を挙げると、漢字(漢字の表記をまちがっていることもあれば、同音異義語のまちがい)や慣用句をまちがって使っていたり、自分のことを「僕」や「自分」などと書いたり、感情を表すとき「〜だなぁと思った」と表現したり・・・。 そのなかでも特に多いのは、接続語として「なので」を使うことです。確かに会話の中では「〜です。なので、私は〜しました。」などと使うことがあるので、気持ちはわかりますが、提出文書では使用できません。 他には、「〜たり」は通常は「〜たり、〜たりする」のように重複させて...
- 言葉や表現の変化
- ただし、提出文書でこの表現を使用していると、まちがいと指摘されます。昭和初期に書かれた文章を読んでいると、「今はこんな風には書かない」と感じる表現を目にすることもあります。 こうして考えていくと、言葉や表現の方法は時代と共に少しずつ変化していることに気づきます。今現在、間違いとして指摘している表現も、時代と共に一般的な表現として変化していく場合もあるでしょう。その変化に対して論文の指導者がとるべき態度は、「今はこのように使われているが、本来の表現・意味はこうなのだ」と伝え続けることだと考えてい...
- 制限時間
- この制限時間は、与えられた時間内でどれだけ考えたか、またそれを論文にあらわしているのかをみたいということです。勉強の初期の段階で制限時間を厳密に守ることはないと思いますが、試験本番では、たとえば、あるレベルの問題については、90分という時間の中で、課題文の読解→内容の理解→問題点の発掘→自問自答→自分の主張の発見→アウトライン作り→論述という流れをこなしていかなくてはなりません。 でも、今それができないことで弱気になることはありません。どのような課題が出されても、しっかり考える力が養われていれば...
- 言葉とは
- 言葉が使用される個々の場面をいろいろと思い浮かべてみると、言葉がいかに人々の生活に密着したものであるかということに気づかされるのではないでしょうか。このように人々の生活と切り離して考えることのできない言葉は、その時代ごとに様変わりする人々の生活様式やものの考え方などを色濃く反映して、常に変遷していく性質を備えています.「言葉」というものについて、あらためて認識してみましょう。なぜ言葉は用いられるのか? 何のために言葉を我々はつかうのか? このような根源的な問いを我々はしばしば忘れがちです。しか...