小論文の二つのタイプ
入試で出題させる小論文はその特徴により二つのタイプに分類することができます。その二つとは説明を求められるケースと意見を求められるケースです。
説明を求められる場合 | 「〜は何であるか」という設問を持ち、この問いに対する答えを説明しようとする文章。説明だけでその内容にはあなたの主張が含まれない論理的な文章です。 |
---|---|
意見を求められる場合 | 「〜についてあなたの意見は何であるか」という設問を持ち、この問いに関する答えを自分の意見として説明しようとする文章。あなたの主張が存在する論理的な文章です。 |
いずれのタイプの小論文を論述する際にも一番大切なことは、他者に説明するための材料(内容)を準備しておく必要があるという点です。
小論文を書こうとやる気はあるのだけれども、いざその場面になるとかけなくてつらいと感じる方の多くはこの材料(内容)不足が影響しているのです。すなわちそれは、論述を始める前の段階の準備不足によるものなのです。
いきなり急いで、小論文を書こうとするのではなく、説明を求められる場合では「何を説明するのか、どういう話題を利用して、どういう順番で説明するのか」までをはっきりと考える必要があります。
また、意見を求められる場合では「何を主張したいのか、どういう話題を利用して、どういう順番で説明するのか」までをはっきりと考える必要があります。
その際の秘訣は、文章を書こうとするのではなく、あなたが友人に会話をするつもりで頭の中で気楽に説明してみることです。
これが明確になったらその話題・材料と手順をメモ書きしましょう。これをアウトラインの作成といいます。
小論文を論述する際の一番大切な点は説明したいことや主張したいことを明瞭にすることです。そのためにはテーマに対して「問い」を準備して、徹底的に分析することが欠かせないのです。
スポンサード リンク
作成手順 エントリー一覧
- 小論文作成の作業工程
- 小論文の論述を開始する際には分析メモに基づいてアウトラインに従い丁寧にそれを文章化しましょう。この段階では、論旨が変化する可能性を避けるためにあなたの思いつきを書き足さないことが非常に重要です。字数に制限がある場合は、この段階で調整をしながら進めましょう。つまり、事前に主張したいことや説明しなければならないことをはっきりとさせ、それを論述することで、論理の通った文章が完成する仕組みです。いわば、小論文を書くために、文章を書くのではなく考察を作り上げる(まとめる)ことが非常に重要な点です。それでは...
- 自問自答の方法
- あなたがあるテーマを対象として自らに問いを出せばその答えを出すことができます。さらにその答えを出発点としてさらに深く追求する問いを出せば、よりよい答えを導き出すことができるようになります。それでは具体例をご紹介しましょう。テーマは「気配り」です。日本人はなぜ気配りを大切にするのであろか?→そもそも「気配り」とは如何なるものなのか。→「相手の立場に立って思いやること」なのではないか。→では「相手の立場に立って思いやること」で、何を分かろうとするのだろう。→相手の認識や価値観を知り、自分の認識や価値...
- 作業工程の詳細T
- このページでは小論文を書く(作業工程)の詳細の中で、1.課題文を読む 2.設問文を読むについてそのコツをご紹介しましょう。1.課題文を読む課題文型の小論文の論述方法について説明を進めます。課題文がある場合ではその文章を熟読してテーマの理解を図ります。国語課題の現代文の読み方とは異なり、そこまで細かく読む必要はありません。筆者の主張を理解することが大切です。さらにテーマの展開を読み取ることに注意を払います。具体的には例えば筆者の意見がどういった理由で述べられているかとか、筆者の立場はどうであるかを...
- 作業工程の詳細U
- このページでは小論文を書く(作業工程)の詳細の中で、3.知っていることをメモ書きする 4.知らないことを自問自答する 5.あなたの意見や結論を導くついて、そのコツをご紹介しましょう。3.知っていることをメモ書きするまずは考察するテーマに関してあなたが知っていることを全て書き上げてみましょう。慣れていない初めのうちは全てをメモ書きすることで自分の知識の確認にも繋がりますから、どんなに些細なことでも列挙しても大丈夫です。この作業を行うことで、あなたが考察すべき対象について知っていることがはっきりと...
- 作業工程の詳細V
- このページでは小論文を書く(作業工程)の詳細の中で、6. アウトラインの作成について、そのコツをご紹介しましょう。アウトラインの形態にこだわる必要はありません。あなたの自由に作成してみましょう。アルファベットと数字を組み合わせてa-1,a-2,b-1,c-1といった表現も可能ですし、あるいはもっとシンプルに箇条書きでまとめてもよいでしょう。6.アウトラインの作成あなたが十分に納得のできる結論を見つけることができたのであれば、その内容を他の誰かに教えようとしたら、どのような順番で話を進めるでしょう...
- 問題の傾向性とアプローチ
- たとえば技術系資格試験や法律に関わる資格試験では、「〜について問題発生の原因と解決の方法をすべて列挙し、それらに共通する〜を推測して内容を説明せよ」という具合に出題される場合があります。これは確かに知識がなくては何もできません。 大学や高校受験小論文の試験では「〜について○○の立場から意見を述べよ」とか「課題文の〜を解決するにはどうすればよいと思うか、意見を自由に述べよ」というように知識よりも意見を述べなければならない問題が圧倒的に多い。 これは設問文が知識を有するかどうかという点で異なる...
- 小論文試験の特徴
- 従来の基礎教科の試験には正解がありました。それは、問題に対して正解となる知識やそれを導く方法をマスターしておく必要があったということです。そして、それらをマスターするには知識の暗記と方法の訓練が必要でした。しかし小論文試験には正解と言えるものがありません。現実の世界にある未解決のあらゆる問題が出題の対象であり、それに対する意見が求められるからです。と言うことは、いかなる問題に対しても即座にあなたなりに正当な解釈を展開して、納得できる結論を見出す力が必要です。しかしこれは、どんなに記憶力が弱くても...
- 曖昧な問いへの対応
- 入学試験の小論文では「〜についてあなたの意見を述べなさい」といった形がよく出題されます。それは、曖昧な問いに対してこそ、私たちは自由に考えることができ、自分らしい認識や判断を示すことができるからなのです。論作文の問題も、このような曖昧なものがとても多いのです。「いじめについてあなたの考えを述べなさい」「平等について意見を述べなさい」「歴史を学ぶ意義についてあなたなりの意見を述べなさい」「戦争をする人間について、あなたなりの解釈を論述しなさい」「環境問題について自分の立場から意見を述べなさい」「ク...
- 説得力を持つ主張
- 自問自答の方法がある程度分かれば、次は実際に問題に挑戦してみたいと考えるものですが、考える方法が分かったからといって、必ずしもあなたの主張や意見が賞賛されるとは限りません。むしろ、考えて主張した意見に反論されたり批判されたりすることもあり得ます。そのときに、自論に自信を持って主張できるようになるためには、一体何が必要なのでしょうか。 自信を持って主張する? 一見正しい疑問のように見えますが、本当にそうでしょうか? 実は、違います。 「自論に自信が無い」と悩んでいるとき、人は往々にして説得力のあ...
- 小論文を論述する際の注意すべき点
- 一人で小論文を書くとどうしても、見方が一方的なってしまいます。そうならないためにも、アウトラインシートを使って自分の話の流れを客観的に見て、考えられる批判や反論を分析の段階で見つけ出してみましょう。そして、それに対する説得も含めた記述をしておくことが、正当性のある論述(主張)になるのです。一例をあげると「マニュアルにとらわれない」とはどのようなことでしょうか。現在、マニュアル主義の弊害が指摘されていますが、マニュアル主義の何がいけないと考えていますか。ある問題を解決する方法は幾通りもあるものです...
- 情報の整理
- これらをさらに自問自答して根本的な問題にまで掘り下げてみることです。以下はテーマ『望ましい高齢化社会』の具体例です。a.「人生の先輩」として高齢者が敬われる 確かにお年寄りは、我々にはない多くの経験と知識を持っています。それらを若い世代に引き継いでもらえるのなら、お年寄りは張り合いを感じてもらえると思います。それではなぜ、若い世代はお年寄りから学ぼうとしないのでしょうか?b.バリアフリー化が更に進み、高齢者が外出しやすくなる 急な階段や、人通りが多く休む場もないところへの外出はお年寄りに安心して...
- ボトムアップとトップダウン
- たとえば、「5+5」は「=10」となります。これがボトムアップの考え方です。誰がどう考えても「10」になるのだから読み手は納得できるはずです。 トップダウンは「10」にいたる筋道を選択する方法です。「10=5+5」、「10=2+8」、「10=6+4」、「10=3+7」・・・・etcそのバリエーションはいくつかありますが、結論は「10」です。これも読み手は納得できるはずです。 これらの手法は一長一短あって、ボトムアップは合理的な結論をつくりやすい反面、扱う情報・知識が漠然としていると、結論が曖昧...
- あなたなりの構成
- 少しずつ慣れてきて、自分なりの「組み立て」ができるようになってきたかな、と思う頃になると見落としがちなことは、「字数は限られている」ということです。当然、多くを含めようとするほど、内容が薄くなります。ですから、ここまでの分析で挙げることができた諸点を並べ替えることに加え、「課題と本当に密接に関わるかどうか」に注意を払いながら、ひとつひとつの要素を吟味して「取捨選択」する必要があります。とりわけ、不要な部分を「切り捨てる」ことに注目できるかもしれません。たとえば課題のテーマが『自分の今、将来の予測...
- 設問の意図
- たとえばテーマが高齢化社会である場合、家族や親族の老後の生活はどうあって欲しいですか? 近所にひとり暮らしのお年寄りの人はいませんか? 何か困っている事はないでしょうか。そこにはどのような問題があるでしょうか。その問題点をみつめる視点をいろいろな角度に変えてみてください。 あなただけの深い考察にいきつくことが可能なことと思います。そしてそのようにして得た考察はあなた自身が読み手に説得力をもって伝えることができるのです。 小論文というものは、課題に対してどれだけ考えて、自分なりの意見(主張)を述...
- 何を書くか悩むとき
- あなたが今まで考えたことがないような問題が出題される可能性は十分にあります。試験時間や精神状態を考えると、その場でじっくり考えることは難しいはずです。そうであるので、事前の準備、事前に考えを深める訓練をしておくことが必要です。考えを深めるには議論をすることが有効です。自問自答で、あえて課題文や自分の意見に反論してみてはどうでしょうか。 文章を書くという行為は、そもそも自分の中にある言葉を書き出して読み手に読んでもらうことを前提としています。 読み手に読んでもらう文章でも、読み手によってあらかじ...
- アウトライン作り
- とても難しいものと感じられるかもしれませんが、見つけた問題点を深く考察した小論文は結果的に読み手を説得する内容になりますし、共感を得やすいものです。そしてそのような小論文を書くための基礎となるものがメモとアウトラインなのです。メモをとりながら問題点を探し、解決策を考え、さらに次の疑問点に出会い・・といったことを繰り返して考察を深めていってください。あなたの書いたメモの中でいろいろな疑問点についてあなたが考えた結果、小論文を書こうとするとメモの中には不必要なものが含まれているかもしれません。それは...
- 分析メモ
- 分析メモは課題テーマについての問題点を挙げてその解決法までを自分なりに導き出し、それを実際に人に話す時を想定して、話の展開の順序を決めてアウトラインの作成をするということです。初めて作業すれば随分時間がかかることでしょう。人に話をすること、そして、それを理解してもらうことは、とても大変な作業だと思います。論述をするということは、それを読んだ人があなたの意見や考え、思いを理解し評価しようとするものです。自分の意見をいかに簡潔に、的確に伝えられるかがカギだと思います。 分析メモを作成することにより自...
- 課題文の読み取り
- あなたの作成した小論文を読んでいる方は、さっと読み流したのでは言いたいことが分かり難い感じを与えるときがあります。ということは、このまま人に話そうとすると、聞き手はおそらく分かり難いところを聞き返してくるはずですね。そういうことを少なくするために、普通、私たちは、人に話しをするときに少しでも分かってもらえるように話しの流れや説明の詳しさや具体性、まとめの部分などを工夫して話しますね。きっと普段、友達や家族に話しかけるときは、もっと分かりやすく話すことが出来るのだろうと思います。 ですから、分析...
- 解決策を見つける
- あなたは「分析メモとアウトラインが同じようになってしまう」と感じてしまうことも経験することでしょう。これはまだ自問自答が十分でなく、あなたが主張したいことを人に説明するための材料が少ないために、アウトラインを組み立てるときに分析メモに書き出した材料をすべて使わなければならなくなってしまったためだと考えられます。 自問自答の深め方としては、分析メモに書き出した自分の考えに対して、「それはなぜだろうか」「本当にそうだろうか」「違う考え方はないだろうか」などとさらに疑問を出してみるよう意識するとよいで...