小論文テーマ【国民性の変化と経済発展】を考察

「国民性の変化と経済発展」を論述するヒント

問題の意図を的確に捉え、経済発展をとげようとして国民性が変化した理由や経緯を追及し、そのうえであなたの考えが述べることが大切です。

 

まず、第二次世界大戦において、日本が始めて敗戦という出来事に出会ったことで国民が不安と苦難を抱えたとの指摘が、おおらかさを失った原因と考えることができます。

 

確かに敗戦は日本にとっての大きな出来事ですから、国民性に影響を与えなかったということはないはずです。敗戦という失意の中で、国民の誰もが先行きに不安を感じていただろうということも容易に想像の出来ることです。

 

しかし、それが直接おおらかさを失わせてしまったのでしょうか? かつての日本では不況や暗い出来事が多い時代であってもおおらかさが失われていない、と指摘もあります。では、同じように世情が暗い状況を経験したにもかかわらず、かつての日本にはおおらかさがあり、現代の日本にはおおらかさがなくなった理由はどのようなことなのでしょうか? 

 

日本は短期間のうちに経済面における復興を成し遂げることができました。しかし、そこにはアメリカやヨーロッパが長い時間をかけて得てきたものを、短期間で自分のものとして吸収してきたわけですから、その分のひずみも生じたのでないでしょうか。

 

例えば、民主主義という政治体制も、ヨーロッパなどでは時には国民同士が争いながら作り上げてきたものです。そこには決して短くはない時間がかかっているのです。日本は出来上がった民主主義を取り入れているのですね。多くの国民にとっては急激な変化によって、それまでの日本を否定されたとの印象が強かったのではないでしょうか。自信を失ったところにそのような印象があったことは、それまであった日本の良さでもあったはずのおおらかさを見失うことにつながって行ったのではないでしょうか。

 

 

原因を一つに限定せずいろいろな角度から考察

上記で述べたことは一つの例ですが、日本人がおおらかさという国民性を失った理由は、歴史的な出来事がどのように影響を与えたのか、心の面からも自問自答してみると考察がさらに深いものとなるでしょう。

 

復興のかげで、なぜおおらかさがおきざりにされたのかという理由を考えることも、自問自答のきっかけになるかもしれませんね。戦後、近代化が急速に推し進められると、農業中心の地域社会から工業中心の都市型社会へと変化したことで、日本人の国民性はどう変化していったのかという視点からも考えてみましょう。

 

また、自然のリズムにあわせて生活せざるを得ないかつての農耕社会と、人為的にペースを制御することが可能な近代的工業社会とでは、人々の時間感覚もおのずから異なって来ます。ましてこんにちのような情報化社会ともなれば、違いはいっそう明らかです。人との触れ合いが減っている原因のひとつとも考えられますね。

 

このように、原因を一つに限定せずに、いろいろな角度から考察できれば、論理に広がりが感じられ評価できるものとなります。効率のよさを追求し、目に見えるもののみが評価される社会になってしまい、見ることのできない心のゆとりがおざなりにされてしまったのでしょう。

 

おおらかさが他人へのやさしさにも繋がることを考えると残念な気持ちになりますが、しかしすっかり消えてなくなったものではないと思います。

 

 

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