「ストレスと現代社会の問題点」を論述するヒント
まずは「心が重視されているはずの時代に、心の病気が増加している原因は何なのか」という問題提起をしてみましょう。後は、この着眼点をどのように深め、あなたの意見として展開させるかが重要となってきますね。そうした点に注意しながら、具体的な内容を考えましょう。
自殺願望にさえ至ることのあるうつ病とは、現代における大きな社会問題ですが、それを生み出している原因の一つは、どこの家庭にも見られる「基本的な心のあり方」にあるのかもしれませんね。そこから、「過度の期待の恐ろしさ」という問題を見いだすこともできるでしょう。
「うつ病が増えている原因」について、「豊かになりすぎたこと」が原因だと述べることができます。ぜいたくになると、「人として基本的なこと」や「小さな幸せ」が見えなくなり(A)、「ぜいたくをさせてくれる人への感謝」が薄れて、相手に多大な期待を押し付けてしまう(B)、と、現代の家庭における心の行き違いの様子を具体的に説明しましょう。
ただし、ここで注意する点は、視点があいまいでは、誰のどういった問題について述べているのかが分かりにくくなる、という点です。
一口に「ストレスと現代社会の問題」といっても、そこには(A)のような内面的な問題もあり、同時に(B)のような対外的な問題もある、ということですね。この点を整理しておかなければ、その後の論旨も分かりづらくなってしまいます。
まず、家族同士の「期待」については、「期待する側」と「受ける側」があることをまとめておいてはどうでしょう。家族関係を図示しながら考えてみてもおもしろいですね。まず「視点を定め」、「誰のどういった問題について述べているのか」を明確にすることを、実行してください。
その上で、「期待というのは、決して一方通行のものではない」と考えたなら、「家族は、日々お互いに期待し合っているものではないか」→「相手からの期待をストレスに思っている人は、逆に、自分が相手に抱いている期待についても考えてみてはどうか」などと、論を展開することもできるように思います。
さらに、もう一点重要なポイントは、「原因をどのように捉えるか」という点ですね。現代の「心の問題」は、果たして「豊かになりすぎたこと」だけが原因なのでしょうか。
読み手にあなた自身の意見として伝えるためには、具体的な説明が必要です。その際には、設問の筆者の主張も十分に考慮に入れる必要があります。ぜいたくになりすぎたから、そのありがたみが分からなくなっている、という意見はもっともだと思いますが、では、物質的な豊かさを排除して、元の貧しい日本に戻れば、家族の「小さな幸せ」は戻ってくるのでしょうか。
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