小論文の書き方とアプローチ法

考える力を鍛える

 たとえば技術系資格試験や法律に関わる資格試験では、「〜について問題発生の原因と解決の方法をすべて列挙し、それらに共通する〜を推測して内容を説明せよ」という具合に出題される場合があります。これは確かに知識がなくては何もできません。 

 

 大学や高校受験小論文の試験では「〜について○○の立場から意見を述べよ」とか「課題文の〜を解決するにはどうすればよいと思うか、意見を自由に述べよ」というように知識よりも意見を述べなければならない問題が圧倒的に多い。 

 

 これは設問文が知識を有するかどうかという点で異なるタイプであるようです。
ところが、本当の問題は、「知識で書けるかどうか」というほど単純ではありません。

その問題を探るために考えてみてください。「〜についてあなたの意見を述べよ」という設問と、「〜の解決策を2つ提案してそのメリットとデメリットを比較しながら説明せよ」では、どこが違うか分かりますか?

 

 前者は「〜について」と曖昧であるのに対して後者は「解決策を2つ・・」と具体的ですね。

 

 また、前者は「意見を述べよ」というのに対して後者は「メリットとデメリットを説明せよ」と指示しています。このことは前者が【意見】という個々に異なる考察の結果を説明するよう指示しているのに対して、後者では【メリットとデメリット】という客観的事実を説明するよう指示しています。

 

 そうです。前者と後者は設問の具体性が違うだけではなく、説明すべき内容が主観的事象であるか客観的事象であるかという大きな違いがあるのです。 

 

 もちろん問題の解決には、主観的ということと客観的ということの厳密な相違を踏まえる必要がありますが、ここではその議論は置いといて、「主観的な事象を解説することの難しさ」について、よく考えてみて頂きたいのです。

 

 設問が曖昧であるということは、主観的な要素であれ客観的な要素であれ、説明したいこと、主張したいことを、しっかり絞り込む必要があります。

 

 曖昧な問いへの答えを見つけ出すためには、「何が分かっていないか」から出発して、資料や知識、経験を材料に、答えにたどり着くヒントを見つけ出さなくてはなりません。
そうした方法は、従来、発想法とか知識の整理法等と呼ばれてきました。

どのように呼んでもかまいませんが、自由闊達に、自分なりに正当である、真実であると信ずることのできる答えを見つける必要があるのです。

 

 それは、行き当たりばったりではできません。もちろん、知識を詰め込んでもできません。まず、答えを見つける方法を知ること。

 

 そして、その方法を習得するための練習をしておくことが必要です。それが学生の間にできる人は本当に幸せだとわたしは思います。その訓練は、結果としてその人の学問の資質を鍛えてくれることになります。つまり、「考える力」を鍛えることができるのですから。

 

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