入試小論文の曖昧な問いへの対応

具体的な問いに言い換える

入学試験の小論文では「〜についてあなたの意見を述べなさい」といった形がよく出題されます。それは、曖昧な問いに対してこそ、私たちは自由に考えることができ、自分らしい認識や判断を示すことができるからなのです。

 

論作文の問題も、このような曖昧なものがとても多いのです。

 

  • 「いじめについてあなたの考えを述べなさい」
  • 「平等について意見を述べなさい」
  • 「歴史を学ぶ意義についてあなたなりの意見を述べなさい」
  • 「戦争をする人間について、あなたなりの解釈を論述しなさい」
  • 「環境問題について自分の立場から意見を述べなさい」
  • 「クローン技術について・・」
  • 「脳死判定について・・」
  • 「メディアリテラシーについて・・」

 

 

実は、この曖昧な問いの答えを見つける方法があるのです。それは自分で答えを見つけられそうな問いを出してみることです。

 

一つのテーマを使ってご紹介しましょう。

 

「平等について述べよ」

 

 この課題のように、入試の小論文の課題では、説明を始めるには「何を説明するのか」を全て自分で決めなくてはなりません。

 

 「平等とはどういう意味か・・」

 

 「平等という価値観が必要になるのはどういうときか・・」

 

 「これまでに平等ではないと感じたのはいつ、どこで・・」

 

 「平等の恩恵とは何か・・」

 

 「なぜ平等でなければいけないか・・」

 

 「どうすれば平等が築かれるか、あるいは保たれるか・・」

 

 こうした問いかけは、いわゆる発想によって決められるため、5W1Hなどを使って、その名前や正体(WHAT)、その主体(WHO)、その時期(WHEN)、場所(WHERE)、理由(WHY)、方法や程度(HOW)などの発想の視点を活用すると具体的な問いかけが出しやすくなります。

 

 また、時空を越える発想(「現代が〜なら昔はどうだったか」とか「日本がこうなら欧米はどうか」といった問いかけになる発想)や逆転の発想(時空を越える発想と重なる部分もありますが「現代←→過去←→未来」という発想)も効果的です。また仮説を立てることで発想の枠を拡大するのも良いでしょう。

 

 いずれにしても、このようにして自問自答することで、課せられたテーマがつぶさに吟味できるようになっていきます。

 

 しかし、こうした自問自答は、決められたキーワードに従えば非現実的な考察を招きますし、発想法も固定化すれば、十分な分析が出来なくなります。

 

 そこでは、絶えず、目的を明確にしながら問いかけを用意し、その答えを丹念に探す忍耐が必要になります。

 

 

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