知識と経験・体験を関連付ける
論文指導をはじめて間もないころ、そういった質問を受けることが怖くていつも不安を感じていました。そんなとき、私を指導してくださっていた先生がおっしゃったことは「自分自身の経験や体験から話をすれば大丈夫」ということでした。
実際に生徒さんとじっくり話をしてみると、じつに基本的なことから分かっていないのだ、ということに驚かされました。要はその分野について知っていることが少ないのです。知らないからどのようにアプローチすればいいのかわからない、といった状況でした。課題や背景の問題に対する予備知識は授業前にいれておきましたが、実際には私が想像していたような高度な(というか考えの及ばない範囲の)質問は、あまり出てきませんでした。
考えてみれば相手は高校生であり、この世に生を受けてせいぜい17年ほどの知識・経験しかないわけです。もちろん相当な勉強家の方もいらっしゃるでしょうが、経験や体験談となると私のほうが多少なりとも持っています。年の功、とでもいうべきでしょうか。
私自身けっこう多趣味で様々な分野に興味があり、色々な方のお話を聞かせていただく機会に恵まれていましたので、その経験は大いに役立っていると感じています。
論文の指導をする立場で、今の自分自身に何が一番必要かを考えると、知識の引出しを増やすことと、今もっている知識や経験・体験を、それぞれ独立したものでなくお互いを関連付けて、自分が得たものは何なのかを整理していくことだと感じています。知らないことは伝えられない、伝えられるものを持っていても、その方法に戸惑っていては相手には伝わらないですからね。
今後もますます勉強することが増えそうです。
著者 ひねもす
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