当事者としての視点
小論文に出題される課題文には、多種多様なものがありますが、その多くは、あなたがこれまで思いもしなかったような新鮮な視点から、現代社会の問題を見直した内容であることでしょう。中には、普段あまり関心を持たないような問題を取り上げた文章もあるでしょう。自分の意見を考えるどころか、その内容を理解するだけで大変、という方も大勢いるはずなのです。
あなたが、いつも丁寧に分析メモを取って、課題文の内容をしっかり把握しているのであれば、この第一段階は、十分にクリアできているわけです。そこで、今後は、次の第二段階を解決すべき課題にしていただきたいと思います。
課題文を理解した後は、それを元に、自分なりの意見を見つけ出すことが必要となります。しかし、課題文に対して、単に「もっともだ」「その通りだ」とうなずくだけの意見では、感想文とそう大差ない内容になってしまいますね。課題文の主旨を元にしながらも、筆者とは少し違った観点から、何らかの新しい意見を導き出すことが重要となってくるのです。
自分自身の「中身」について、自ら判断を下すのは難しいことですね。しかし、あえて、自分の姿を客観視する視点も持っていただきたいと思います。「当事者」としての視点を持つことは、小論文を書く上での大きなポイントの一つです。たとえば自分の主張を、第三者的に述べるのは、案外楽なことかもしれません。頭で理解すれば、誰にでも書ける文章なのかもしれません。そこには、「自分も・・・になりたい」「そのためには、どうすればいいのか?」という、一歩踏み込んだ視点が欠けているように思うのです。
例えば、与えられた常識をうのみにするのではなく、自分の観点から現状を認識して、NOならNOを唱えるという「自立のための訓練」なのかもしれません。大変な時期ではありますが、人の成長にとっては必要不可欠な段階と言えるかもしれませんね。
、アウトラインを構成する段階で、番号を並べてそこに「当事者」としての視点が生かされているかどうかを、もう一度見直してみてはどうでしょうか。もしも、まだ「第三者」的な意見にとどまっていると感じたら、手間を惜しまず、自問自答をさらに続けてみてください。具体的には分析メモには述べられていない内容が、本文に登場するということは、まだあなたの中に発想の芽が残されているという証拠です。ぜひ納得のいくまで、自分なりの意見の形を追及してみてください。
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